Column / News Letter



Webマーケティングトレンド通信Vol.2 2012年8月号

「アトリビューション」について(1)

アトリビューションとは?

今回は「アトリビューション」についてご紹介したいと思います。

Webマーケティングの現場で最近話題のアトリビューションですが、「アトリビューション」とは「帰属する」や「〜に帰すること」と訳されます。 では、Webマーケティングでいうところの「アトリビューション」とは、何を指すのでしょうか。 アトリビューションはユーザーの動向を表す「Customer Journey」を評価をすることと言われたりします。「Customer Journey」という言葉も、最近たまに見かけるようになりましたが、これはユーザーが商品購買などの最終アクションを行うまでの、認知や情報収集、比較、調査などの行動を表現している言葉です。ここにさらに、ユーザーがコンバージョンに至るまでの複数回のセッションや利用したチャネル、デバイスなどを考慮する必要があります。

ユーザーは、欲しい商品を最も低価格かつ良い条件で購入するために、製品サイト、ソーシャルメディア、Web媒体などのあらゆるソースから情報を見つけ出し、調査し、比較した上で購入します。ユーザーが購入する際に影響を与えるチャネルは、何通りも存在しています。 アトリビューションは、「Customer Journey」に影響を与えるチャネルを定義し、貢献度を割り振る方法です。

マーケターの悩みの1つとして、「オンラインに投資する最適な予算配分方法を知りたい」というものがあります。 今でも、アクセス解析や広告分析などのツールによってPV数やクリック数、売上金額や登録数、リード獲得数などのデータを得ることはできています。 ですが、昨今一般化してきているこれらの手法では、実は多くの重大な機会損失を見逃していることがあります。そこで、アトリビューションという考え方が重要になってきます。

つまり、我々はアトリビューションにより、販売サイクル全体にマーケティングがどのように影響しているかを把握し、理解し、そして最適化することができます。 アトリビューションとは、例えば「コンバージョンに貢献したのはリスティング広告かディスプレイ広告のどちらなのか」というような、2つに1つを判断するような結果を引き出すものではありません。 「ディスプレイ広告がリスティング広告の成果をどうやったら向上させられるのか」、または「リスティング広告はディスプレイ広告の成果をどうやったら向上させるのか」、また、「どのくらい相乗効果があるのか」、「どうやったら相乗効果が出るのか」などを検討できるようになります。

顧客や見込み客がどのようにメディアを利用するのかを精査し把握することで、「Customer Journey」を知ることができます。 例えばメールやSEO、ソーシャルメディアはリスティング広告の成果をどれだけ後押しできるか、またはその逆で、リスティング広告はメールやSEO、ソーシャルメディアなどをどれだけ支援できるかなど、あるチャネルが他のチャネルの成果をどれだけ上げられるかを考えます。この分析は、顧客がいつ、なにを欲しているのかを把握し、その情報を組み入れることで、さらに最適化できます。

企業のアトリビューションに関するツールやソリューションの導入が進んでいます。 本来、アトリビューション分析ツールはアクセス解析ツールの導入基盤の上に構築されるものですが、現状は広告に関するアトリビューションのみでアクセス解析データと連携していない、またはベンダーが薦めるアトリビューション手法のみしか利用できない、などの制限があるようです。 ですが、今後アトリビューションはデジタルマーケティングにおいて数年の内に標準的なものとなるでしょう。

アトリビューションは、マーケターと代理店の知識やスキルと、技術とが合わさって実現されるものです。 アトリビューションで欠かすことができない「チャネルの重み付け」も、マーケターや代理店の過去の経験によるノウハウが非常に大切です。

精度の高いアトリビューション分析を実現する場合において、オンラインとオフラインの領域双方を考慮に入れる必要があります。ですが、現状ではオンライン領域の成長が続いていることもあり、オンラインだけで顧客を獲得することが重視されることが多く、これにかける支出の最適化や理解が肝要です。

アトリビューションは、1つの手法ですべての企業や製品に応用できるものではありません。企業別・製品別のアトリビューションが存在します。また、「Customer Journey」は環境の変化や時間の経過によって変化しますので、継続的にアトリビューション手法に関してもモニタリングすることが重要です。

企業のアトリビューション実施状況

2011年に米国で実施された調査結果に基づき、アトリビューションの導入について考察します。以下に調査の一部をご紹介します。DAA(Digital Analytics Association)に掲載されているWhite Paperによると、一般企業では60%以上、代理店では80%弱がすでにアトリビューションを導入しており、内訳はB2Bが34%、B2Cが約50%でB2Cが先行しています。一方、業種の内訳については小売りや金融が14%となっているものの、全体的に大きな傾向は見られません。

アトリビューションの目的

アトリビューションの目的として企業が設定している目標です。

  1. オンラインマーケティングの予算調整
  2. コンバージョンに直接貢献している施策をベースとしたメディアミックスの最適化
  3. キャンペーンを企画する際に必要となるコンバージョンプロセスやセールスサイクルの詳細情報の把握
  4. アフィリエイトへの投資金額の最適化

となっており、アトリビューションが投資金額の最適化に対しての貢献を期待されていることがわかります。

アトリビューション導入のメリット

アトリビューションの考え方、分析を導入することによるメリットについて、マーケターは以下のように考えています。

  1. オンラインマーケティングの予算調整
  2. コンバージョンに直接貢献している施策をベースとしたメディアミックスの最適化
  3. キャンペーンを企画する際に必要となるコンバージョンプロセスやセールスサイクルの詳細情報の把握
  4. アフィリエイトへの投資金額の最適化
主要なアトリビューションメソッド

では、マーケターはどのように個々のチャネルの価値や相関関係を評価しているのでしょうか。企業で導入しているアトリビューション手法は以下のようになります。

  1. ラストクリックが貢献しているとみなす手法。
  2. 特定のチャネルを重視して貢献度を配分する手法
  3. ファーストクリックが貢献しているとみなす手法。
  4. 重み付けせず、貢献度を均等に割り付けする手法。
  5. コンバージョンに時間的に近いアクションの貢献度を重視して重み付けする手法。

  6. 現在でも「ラストクリックが貢献しているとみなす手法」が、一番多く採用されているアトリビューション手法です。「アトリビューション」という言葉は最近聞かれるようになってきた言葉ですので、「ラストクリックが貢献しているとみなす」という手法が「アトリビューション」にならないのでは?と思われる方もいらっしゃるかも知れません。ですが、アトリビューションとはチャネルの価値や貢献度を割り当てる方法論ですので、これは「ラストクリックのみが貢献している」とみなす「アトリビューション」であると言えます。

    では、具体的にはどのように割当をしているのでしょうか。
    ラストクリックに貢献度をすべて配当するアトリビューション手法は、導入のしやすさもあり、一番主要な手法となっています。ラストクリックの考え方は以下になります。

    (a)「会員登録」や「電話問い合わせ」、「購入」などの最終コンバージョンの直前のアクションを単純にラストクリックという場合
    (b)リファラーを伴わない来訪はチャネルの評価ができないため、ラストクリックから除外する。
    (c)自然検索は短期的なコントロールが難しいため、アトリビューションの対象外としているマーケターが多い。


主要なアトリビューションメソッドの4、「重み付けをせず、貢献度を均等に割り付けする手法」は、特定のチャネルに重み付けをせずに、貢献度を均等に配分する方法です。
「コンバージョンに時間的に近いアクションの貢献度を重視」する場合については、コンバージョンに近いイベントを重視する手法で、例えばコンバージョンまでの7日以内に起きたイベントに+10ポイントするなどを行っています。

アトリビューションでは、まずベースとなる分析手法を選択し、それを各社独自の手法や重み付けでカスタマイズしていきますが、この「重み付け」をするノウハウとスキルがとても重要となります。 また、アトリビューションの効果を図るツールや技術については、Excelやスプレッドシートで対応しているか、外部のアトリビューションシステムを利用しているというケースが多いようです。

より効果的にアトリビューションを行うためには

自社の経験から重み付けを行ったカスタマイズチャネルが一番効果的であると考えられています。ファーストクリックやラストクリックなどの単純な手法については、あまり効果を感じていないようです。ただし、カスタマイズチャネルや独自手法によるアトリビューションは非常に手間がかかります。有効と思われている手法がツールなどにより簡易化できると、マーケターにとってはとても良い環境になるでしょう。

アトリビューションによるチャネル別投資金額の変化について

オンラインとオフライン含めたチャネルへの投資金額の変化について、アトリビューションを導入した前と後で比較すると、リスティング広告やSEO、ディスプレイ広告、ソーシャルメディアへの投資は大幅に拡大する一方で、ダイレクトメールや出版物への投資が大幅に減少します。

アトリビューション成功の鍵とは

アトリビューションを成功させるために、5つのポイントがあります。 1つ目は組織です。予算やリソースをシームレスに最適化できる組織体である必要があります。 2つ目は経営層によるサポートです。アクセス解析でも同じことが言えますが、経営層の理解なしにマーケティング施策や予算配分の最適化をスムーズに進めることは困難です。 3つ目は適切なアトリビューションデータを取得する技術を採用すること、4つ目は取得するデータの精度です。 アトリビューションに限らず、オンラインマーケティングにとって精度の高いデータ取得は基本的なことです。 5つ目は人材です。マーケティングテクノロジーは人の代替にはなりません。 アトリビューションを含め、マーケティングチームは常に活動のレベルを上げ、データ解析や最適化を通じて、可能性を追求していかなくてはなりません。

「アトリビューション」について(2)

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