Column / News Letter



Webマーケティングトレンド通信 2012年9月発行

B2BビジネスにおけるWeb解析について

B2BにおけるWeb解析の現状

今月は、B2BのWeb解析についてご紹介します。B2BでWeb解析を実施している企業は、どのような軸で分析すべきなのでしょうか。また、Web解析ツールではどのような機能が求められるのでしょうか。

B2B、B2Cといったビジネス領域に関係なく、Web解析ではまずサイト全体の訪問者の傾向を把握しますが、B2Bのビジネス領域では、それだけではなく「企業アカウント単位」でのオンライン上のユーザー行動の可視化が必要です。

Web解析ツールはWebサイト内のユーザー行動を可視化しレポートとして表示しますが、B2Bにおいて重要である収益につながりそうな見込み客の行動や期待を捉えるには限界があります。B2Bでは従来のWeb解析ツールの機能に加えて、企業アカウント単位で解析できる機能が必要と言えます。この解析データを得るためには、どのようにすれば良いのでしょうか。

Web解析ツールの標準の機能では、企業アカウント単位での分析に応えられるツールは見当たりません。このような現状から約80%のB2B企業が、「販売に繋がると思われる確度の高い潜在顧客に対して、Webサイト上では個別に対応できていない」と回答しています。B2BのWeb解析にはまだ課題が多いと捉えられています。

B2BのWeb解析ツール

facebookやツイッター、モバイルアプリなどが急成長しているにも関わらず、企業のWebサイトはさほど進化しているようには思えません。ですが、企業のWebサイトは購買の最終意思決定の段階で非常に重要な役割を果たしているという事実が様々な調査結果で示されているように、企業活動にとってWebサイトはとても重要な存在です。どんな企業でも、Webサイト訪問者の個別の目的を満たすことができるように、改善を繰り返して行くことが重要です。

訪問者がWebサイトで自分の目的やニーズに合ったアクションができるようになると、満足度や信頼感が高くなります。このような視点でWebサイトに改善を加えて行くことで、売上を引き上げることができるでしょう。

Web解析をすでに実施されている方にはおさらいになりますが、一般的なWeb解析ツールでは、以下のような情報を提供しています。

  1. Webサイトの総訪問数
  2. 閲覧ページ
  3. 検索キーワード
  4. ページ滞在時間
  5. コンバージョン率
  6. コンバージョンまでのクリックストリーム
  7. Webサイト離脱ページ
  8. 訪問者の地域属性
  9. リファラー情報

これらWeb解析ツールの情報から、Webサイトのレイアウトやコンテンツ、SEO、戦略、ナビゲーションなどの問題を抽出することができます。よく長い間同じ業界にいると偏った考え方になりがちで、Webサイトにも偏った考え方を適用してしまいがちですが、このように客観的にデータ化することで偏った考えを打破することができます。B2Bのビジネス領域にとってはありがちともいえる状況に、こういったメリットもあるのです。

また、こういった視点もあります。「どのWebコンテンツがどんな人に一番影響力があったのか」、または「影響しなかったのか」を企業が理解することで、重要なコンテンツの拡張や追加、修正を行うことが可能になるというメリットがあります。これを実行すると、コンバージョン数の増加や売上の増加を期待することができるため、欠かせない視点と言えるでしょう。

一般的なWeb解析ツールの機能を使って、これらの視点による分析が可能です。

B2Bサイトのアクセスの特徴とは

もう少しB2BサイトのWeb解析に踏み込んでみたいと思います。B2Bサイトの重要な役割とは何でしょうか?それは優良なリード(見込み客のリスト)を獲得することです。ですが、B2Bサイトへは見込み客の他、代理店や既存顧客、場合によっては就職希望者や従業員の家族など、さまざまな人が企業サイトに訪問してきます。これらを同じ軸、同じ見込み客として分析することはとてもできません。そして、一般的なWeb解析ツールではこういった属性を分類した上で個別に分析することはできません。
ひとつの例として、属性ごとに興味のある分野が異なるため、当然閲覧するページのパターンも異なります。以下に訪問者のページ閲覧パターンをご紹介します。

【顧客】
①トップページ
②/support.html(サポート情報のページ)
③/contact-us.html(コンタクト情報のページ)

【見込み客】
①トップページ
②/case-studies.html(事例ページ)
③/leadership.html(企業メッセージなどのページ)

【競合】
①トップページ
②/customers.html(顧客一覧のページ)
③/careers.html(採用情報のページ)

このように、既存客はすでに製品やサービスを利用済みなのでサポート情報を閲覧しますが、購入や契約を検討している見込み客の場合、導入事例や企業としての信頼感を得られるページを閲覧する傾向があります。一方で競合にとっては、どのようなユーザーがいるのかを知ることができる「/cusutomers.html」や、企業の成長度合いや今後の事業展開を推測できる情報が掲載されやすい採用情報のページなどが重要となります。

このように、訪問者の立場によってこれだけサイト内の行動傾向が異なることを知らなければなりません。

B2Bサイトではデータの量は問題ではなく、必要なデータの精度と有用性が重要です。一般的なWeb解析ツールはB2BにもB2Cにも同じように利用されていますが、実は収益がWebサイトに直結していて、大量のアクセスやリピーターが来訪するようなB2CのWebサイトを分析しやすいように開発されているのが現状で、それを十分理解した上でツールを活用する必要があります。

一方B2Bでは、サイト来訪者の属性がWeb解析ツール上では非常に見え難いという課題を加味した上で分析しなければならず、こういった面で難易度が高いと言えるでしょう。

今日の一般的なWeb解析について

一般的な指標である進入ページや離脱ページ、サイト滞在時間やコンテンツ閲覧傾向、検索キーワードなどは主にB2CのWebサイトを最適化するために必要な指標です。B2CのWebサイトは訪問者のサイト内行動や検索キーワードなどを分析し、個人的なニーズを満たしているかどうかをトラッキングしているのです。また、クッキーを利用してリピーターの行動分析も行っています。これらのオンラインの履歴は長期にわたり取得され続け、B2C企業にとっては計り知れない価値があります。

B2Bでは、B2Cとは以下の点において異なります。

  1. 訪問者の立場と訪問意図がB2Cとは異なる
  2. B2Bでは長く複雑なセールスサイクルが存在する
  3. オンラインにおける成功の定義やコンバージョンの定義がB2Cと異なる
  4. B2Bは個人ではなく、企業や取引先に対して販売活動を行っている

前の章でご紹介したように、標準的なWeb解析ツールはB2Bにももちろん役立ちますが、企業アカウントをベースとした分析は個人の訪問者を分析することと比べて理解が単純ではないことが明らかです。

B2B企業の必要取得データとセールスサイクルについて

Web解析ツールでトラッキングされている訪問者は、会社に代わってB2Bサイトに来訪している人々であり、個人のオンライン行動ではなく、組織としての行動であると、B2Bのマーケティング担当者は置き換えて分析する必要があります。そして、その企業(来訪してくる人)が自社とのビジネスにどのように関わっているのか(代理店なのか、既存客なのか、潜在顧客か見込み客か・・など)を意識しなければなりません。
そのため、一般的なWeb解析ツールは個人の人口統計データを紐付けることにフォーカスしているところを、B2Bでは以下の情報が必要になります。

・業界
・売上
・従業員数
・会社名

以上がB2B企業に主に求められるデータです。これらをWeb解析ツールと連携させ、来訪者のセッションとひも付けを行う必要がある訳です。

B2Bのセールスサイクルは一般的に複雑です。例えば、Webサイトでケーススタディやホワイトペーパー、無料トライアルおよび他の情報提供をする際に基本的な連絡先情報を取得し、そのデータを元に実際にセールス担当者が営業アプローチをかけるなど、Webとリアルが連携している場合がよくあります。連絡先情報を取得せずに来訪者の企業に関する属性がわかれば、さらに効率的な営業活動ができるようになると期待できます。

分析の視点について最後にもう1つ加えると、B2BのWebサイトは一般的に、例えばB2CのECサイトのようなトラフィックボリュームもなければ、リピートビジネスの定義や目的もありません。それよりも、サイトへ訪問してくるユーザーの目的の一つが、「会社の信頼性を判断するため」であることを考慮して、良い第一印象を与えるようにすることが大切です。その信頼感や好印象があった上で、問い合わせや資料請求などのアクションにつながりますので、この視点を忘れてはいけません。

まとめ B2B企業の解析で考えるべきこととは

B2Bの解析では、以下の要件を満たすことが求められます。

  1. Webサイト内で、見込み客を特定でき、その見込み客が何をしているかを把握できる
  2. 重要な業種や企業規模の訪問者に対して、Webサイトのコンテンツやレイアウト、KPIやSEO、キャンペーンなどをテスト・改善することができる。
  3. 重要な見込み客固有の要件を満たすためにWebコンテンツをパーソナライズできる。
  4. 最大のリターンを得るために、セールス、マーケティングのリソースを、重要な企業に対して割り当てることができる。

また、B2BのWeb解析ツールを導入する際に考えるべきことは

  1. 誰に販売するか、顧客となりうる企業はどこか、トラッキングすべきターゲットを明確にする。
  2. KPIは何か
  3. どのような来訪者の企業データが自分たちにとって重要か。ここでは業種、売上、従業員数などの企業規模、企業別のトラフィックデータなどが想定されます。

このように、一般的なWeb解析ツールの機能に加えて「企業アカウントベースの分析」ができてこそ、B2Bのセールスやマーケティング活動への投資を最適化することができると言えるでしょう。

Visionalistについてご不明な点があれば、お気軽に下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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