Column / News Letter



Webマーケティングトレンド通信 2012年11月号

タグマネジメントシステム導入の投資対効果について

「タグマネジメント」という言葉を最近メディアなどで見かけるようになりました。
一般的に、ウェブを中心としたキャンペーンを行う際には広告のタグをウェブサイトに埋め込みます。 そもそもウェブサイトにはアクセス解析ツールのタグが埋め込まれています。 キャンペーンを行うたびに色々なツールや広告のトラッキングのためのタグを埋め込むというのは、 キャンペーンを主導するマーケティング部門にとっては容易なことではありません。 技術的な色合いが強く、システム部門との連携も発生し、社内で煩雑な手続きが必要な場合もあります。 キャンペーンの数が多ければ多いほどこれらのストレスがマーケターに重くのしかかってきます。

タグが多いことの課題としては

  • タグを設置、あるいは削除するだけなのに自部門だけで対応できない。
  • 管理するタグの数が多すぎる。どこに何のタグが入っているのか、管理しきれない。

といった課題が主に挙げられます。

これを解決するために登場したのが、タグマネジメントシステム(ツール)です。 複数のキャンペーンのタグを、サイトに埋め込んだ1本のタグ(ワンタグ)が呼び出す形のものが、タグマネジメントシステムの主流です。

タグマネジメントシステムの導入に関して、フォレスターの「TEI」により算出したデータがありますので、簡単にご紹介したいと思います。
※フォレスターの「TEI」とは「Total Economy Impact」(総合経済効果)の算定方法で、投資対効果の算出方法として知られています。 評価するシステムの利点、柔軟性、コスト、リスクに関して総合的に評価する手法です。フォレスターはさまざまなITシステムのROIをTEI手法により算出しています。
フォレスター:http://www.forrester.com/home

海外のある国際的航空会社A社のタグマネジメント導入事例をご紹介します。 この会社は、航空券を販売しているEC機能を持っているサイトを運営しています。ワールドワイドにキャンペーンを展開しています。

タグの変更や管理に関しては、タグマネジメントシステム導入以前は、ITチームの開発者とマーケティングチーム、 ECチームが連携してプロジェクト管理をし、作業を行う必要がありました。 このため、多くの人員が関わることになり、迅速にキャンペーンを開始することができず、しばしばキャンペーンが遅延することもありました。 ECチームはキャンペーンを実施するにあたり、これらの遅延を想定した上で企画設計する必要があるという大きな課題がありました。

ですが、タグマネジメントシステムを導入したことにより、以下のように大きな改善がなされました。

  • ウェブマーケティングの世界では新しいツールやテクノロジーが頻繁に出てきます。 これらを導入する際、タグマネジメントシステムがあるためにスムーズに導入できるようになりました。
  • A社は通常100を超えるキャンペーンをグローバルで展開し、250を超える異なるタグを管理しているため、 管理が非常に煩雑でしたが、こういった側面からもタグに関するトラブルは全くなくなりました。
  • タグマネジメントシステム導入により複数の組織が関わっていたタグ発行および管理業務を効率化、簡素化が実現しました。 これにより、キャンペーンの市場投入までの時間が大幅に短縮されました。中には3か月かかっていたものが6週間にまで圧縮されたキャンペーンもありました。
  • 上記メリットにより、社内のタグ管理に対するコストが大幅に削減できました。
  • タグマネジメントシステムに搭載された機能により、異なるチャネル間の効果を一元管理、把握することができるようになりました。 これにより、マーケティング活動をより高い精度で最適化できるようになりました。
  • タグの一本化によりウェブページの読み込み高速化を実現しました。

TEI手法によると、タグマネジメントシステムを導入したことによるA社の3年間の収益率は以下のように算出されました。

  • ROI:128%
  • 回収期間:2.6か月
  • 総便益(現在価値):64万ドル
  • 総費用(現在価値): 28万ドル
  • 純現在価値:36万ドル

言い換えると、A社はわずか2.6か月で64万ドルの総便益を作り出したことになります。かなりインパクトが大きいことがわかります。

ただし、この試算はA社についてのものであり、ウェブサイトへの投資や関わる人員などの条件によっても変動しますので、 今回の試算の前提条件について以下に触れておきます。

コストに関する前提条件と詳細

ツールを導入した場合のイニシャルと3年間のランニングコストは以下のように見積もられました。 前提条件として、2年目でツールのバージョンアップを行っており、人員は導入時にIT部門、マーケティング部門各1名、バージョンアップ時にIT部門は2名関わった計算です。

  • タグマネジメントシステムのライセンスフィー:約26万ドル(3年間)
  • ツール活用のためのコンサルフィー:約2万ドル(3年間)
  • 導入時の社内人件費: IT部門約1万ドル、マーケティング部門約2万ドル
  • 運用のための人件費:約33万ドル(3年間)
導入メリットから見るコスト削減効果

いままで複数あるツール毎に効果を管理していました。 また、アフィリエイトも複数利用しており、1つのメディアに重複して広告を配信してしまっていたという無駄がありました。 タグマネジメントシステムのみでキャンペーンや効果を一元管理し、重複したアフィリエイトを廃止したことによりコスト削減を実現しました。

  • 重複広告のコスト削減:約47万ドル(3年間)
社内タグ管理に関するコスト削減

A社はキャンペーン実施に際して、ウェブのメンテナンスに多くのコストをかけていました。 タグの貼りかえを行うだけのコストですが、実に開発者のコストとして月平均120時間を費やしていました。 ですが、タグマネジメントシステムを導入することでこれを全額削減することに成功しました。
タグマネジメントシステムはキャンペーン実施の際のウェブサイトのメンテナンスが必要なくなるため、開発者のリソースもまったく必要としなくなったのです。
A社は平均250本のタグをマネジメントしている中で、マーケティング担当部門の人的コストに関しても50%削減できました。 マーケティング担当者はより高度な業務に対して時間を割けるようになりました。
結果的に、社内タグ管理の人的リソースから見たタグマネジメントシステム導入によるコスト削減は、3年間で約47万ドルと見積もることができました。

  • 人的リソースの削減によるコスト削減:約47万ドル(3年間)

さらなる利点としては、A社のマーケティングチームはタグマネジメントシステム導入によりより迅速なマーケティング活動のサイクルを回すことができるようになりました。
1つの事例として、いままではツール毎に異なる担当者がチャネル別に効果検証していましたが、タグマネジメントシステムで効果検証も一元管理しているため、 キャンペーンのパフォーマンスが一目瞭然となりました。 キャンペーンのレポーティングや評価に必要な時間も半減させることができました。

今回のタグマネジメントシステム導入に関するコスト削減インパクトは、

  • 新規キャンペーンの投入の機会が多い場合
  • タグの管理本数が多い場合
  • 1つのメディアに対して重複出稿してしまうアフィリエイト広告の調整

に、より大きくコスト削減やROIの向上が数字として現れます。タグマネジメントシステム導入に対するコスト削減インパクトはこれらの前提条件の元に計算されています。
上記条件に当てはまる場合、タグマネジメントシステムを導入し、アクセス解析ツール側で一元管理することで、 精度の高いウェブマーケティングROI管理ができるようになることが期待できます。

参考文献

The Total Economic Impact Of The TagMan Tag Management Solution

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